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「キリスト教式の結婚式」というと、ホテルや専門式場にあるチャペルでの挙式を思い浮かべる方が多いのでは。街で日常的にミサや礼拝が行われている教会“チャーチ”で、本格的な結婚式を挙げられるのをご存知でしょうか。形式だけでなく、結婚と夫婦の意味を深く理解できるチャーチでの挙式が今、ひそかな注目を集めています。
目次
本格的なキリスト教式の教会「チャーチ」での結婚式とは
教会で挙式するキリスト教式の結婚式は、日常的にミサや礼拝が行われている街の教会チャーチと、主に結婚式用に設えられているホテルや式場の教会チャペルのどちらかで行なうことができます。チャーチで行う挙式は、一般的なチャペル挙式とは雰囲気が異なります。重厚なオルガン演奏や讃美歌の合唱、静粛な気持ちで歩くバージンロード、神聖な空間で行う指輪の交換…キリスト教式結婚式の中でも、本物志向のカップルから強い支持を受けています。
チャーチとチャペルの違い
チャーチとは
チャーチとは、牧師や神父が常駐し、その街に住む信者のための礼拝が毎週行われているパブリックな教会のことをいいます。結婚式を挙げるためには、どちらかが信者であることが基本ですが、信者以外のカップルも結婚講座を受けるれば挙式できる教会があります。通常の日曜日は礼拝があるため、結婚式で利用することはできませんが、時間帯によっては日曜日もOKな教会もあります。
チャペルとは
チャペルとは、病院・ホテル・学校・個人の敷地内にある礼拝堂のこと。その施設を利用する信者が集まり、祈りを捧げる場所を指します。キリスト教系の施設であれば神父・牧師が常駐していることもありますが、ホテル内や専門式場のチャペルは挙式の際には、派遣牧師がやってきて司式を執り行います。本来、チャペルは誰もが祈りをささげることができる開放された場所ですが、式場やホテルのチャペルは挙式専門のためにあり、勝手に入ることはできません。
カトリック・プロテスタントの結婚式の扱いの違い
同じキリスト教で同じ神を信仰していますが、宗派の違いで結婚式に対してのとらえ方が違います。また、祭司をつかさどる人をカトリックでは「神父」プロテスタントでは「牧師」と呼ぶなど、同じ役割でも名称が違いますので注意してください。
カトリック教の結婚式
街のカトリック教会で結婚式をする場合、新郎新婦のどちらかが信者であることが前提です。挙式可能かをまず確認しましょう。受け入れてもらえる教会もいくつかありますが、数回にわたる結婚講座の受講や牧師との面談、礼拝への出席など、その教会の規律で条件があるので、あわせて確認をしてみてください。
プロテスタントの結婚式
プロテスタントでは信仰宗派にかかわらず誰でも挙式ができます。そのため、結婚式場や挙式専用チャペルのほとんどではプロテスタントの挙式を採用しています。プロテスタントの教会で結婚式を挙げる場合も、結婚講座の受講が必要です。
教会への結婚式の申し込みと手配方法
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申し込み
信者でない場合は信者以外の挙式も受け入れてくれる教会が、住んでいる地域にあるかどうかの確認を。教会のWEBサイトから結婚式の申し込みを確認し直接電話で問い合わせをし、仮予約して後日直接教会に赴いてから本予約をする、という流れが多いです。
結婚講座を受講する必要
信者・信者でないに関わらず、事前に結婚講座を1~8回(通常は1~4回程度の教会が多い)受講する必要があります。講座は土日のみの開催が多く、夫婦そろっての参加が必要です。
披露宴は教会以外で
よほど大きな教会か、結婚式の申し込みが多い教会でない限りは、参列者との会食や披露宴を教会の敷地内の会場で行うことはできないことが多いです。近くのホテルまたはレストランにパーティを別途手配する必要があります。
ヘアメイク・着付けなどは自己手配
教会の空いている部屋を貸してもらえる場合もありますが、ほとんどは外部手配が必要です。美容院や披露宴会場となるホテルやレストランのメイクルームでお願いして準備するケースが多いようです。
フラワーシャワーやリングボーイなどの演出面は要確認
一般的なチャペル挙式の人気セレモニーであるフラワーシャワーは教会によって規定が異なるので要確認。リングボーイ・リングガールの演出も、あくまで神様の前で結婚を誓う儀式の意味合いが強いため、教会によって規定が異なります。考えている演出は、教会側に確認を。
挙式のお手伝いをしてくれる人は基本ボランティア
挙式の進行を手伝ってくれるのは教会の信者で全てボランティア。奉仕の心でお手伝いしてくださっている方々に、きちんと感謝の気持ちを表してください。ホテルなどのサービスに特化したスタッフではないため、ドレスのアテンドやゲストの誘導、段取りは、自分たちで責任をもってするか、他の誰か信頼のおける人に頼んでおく必要があります。
教会での挙式に必要な費用と内訳
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挙式のみの費用総額相場・・・平均33.8万円
教会で挙式する場合の費用は、挙式料だけでなく挙式風景を撮影までお願いした費用が含まれています。衣装・ヘアメイクなどもかかかりますが、挙式後に披露宴を計画している人は、披露宴会場の提携業者にお願いして、披露宴費用に含まれていることが多いようです。
挙式料(献金)・・・相場5~20万円
献金の額は教会によって異なるので、教会側に予約する際に確認を。WEBサイトに掲載していないことが多いのです。一律で決めている教会と、献金なので本当に気持ちで献金の額を決めることができる教会もあり、費用に不安がある人も皆と同じように結婚式を挙げることができます。
通常献金には、神父・牧師による司会進行・オルガン演奏・讃美(聖)歌の合唱等が含まれています。親族の控室などは無料で貸してもらえることが多いようです。装花は含まれる場合と含まれない場合があります。何人ゲストを呼んでも献金の額は変わりません。
映像料(フォト・動画撮影料)・・・相場5~20万
教会は神聖な場所で、一般人は立ち入り不可な場所や儀式中の立ち位置など、経験が豊かでないと対応できないことが多いため、教会指定の業者にお願いする場合がほとんどです。持ち込みを考えているなら、考えている教会で撮影経験のあるカメラマンを探して指名する必要があります。営利目的ではないので、値段は相場程度です。
衣装料・・・ウエディングドレス26.5万円・タキシード12.6万円
衣装は自己手配です。花嫁は肩を出したドレスは厳禁のため、ノースリーブであればボレロを羽織るか、肩を覆ったデザイン(袖付きなど)のものを選びましょう。披露宴を別会場で手配している場合は、そちらの会場用と兼ねて用意するカップルが多いようです。家族だけの挙式だけなら、新郎はスーツ、新婦はワンピスースといった服装を選ぶカップルも多いです。
ヘアメイク料・アテンド料・・・平均11万円
ヘアメイクも自己手配する必要があります。
ヘアメイクやドレスの着付けは教会で行える場合もあるが、多くはメイクルームの設備がないため、外部に部屋を借りるか、美容室にお願いします。教会での挙式後に披露宴を予定している場合は、そちらでヘアメイクと着付けを行い、教会まで介添えをお願いする場合もありますが、その場合はヘアメイク料金以外に別途料金が必要になります。
装花料・ブーケブートニア料
装花・装飾料
生花または造花で教会の礼拝堂を飾りたい場合は教会と相談の上、教会指定の業者(場合によっては自己手配)にお願いをします。何件か結婚式が重なっている場合は、そのまま装花を持ち越しでつかうため、装花料を挙式件数で割って請求される場合も。チェアリボンやキャンドル、バージンロードなどは教会備え付けのものがあるので無料です。リングピローを貸してくれることも。
フラワーシャワー
フラワーシャワーをしたい場合は別途費用、自己手配が必要です。石畳に花びらのあとが残ってしまうため、禁止にしている教会も多いよう。跡片付けは自分達でやる規律の教会もあります。教会側の規定に従ってください。
ブーケ、ブートニア
新郎新婦のブーケ・ブートニアは自己手配になります。基本持ち込みは自由な教会がほとんどです。教会式の後に披露宴を計画している場合は、披露宴会場と兼用で使うため会場の指定業者にお願いする場合も多いようです。
教会挙式後の披露宴に必要な費用と内訳
披露パーティ費用
教会側は披露宴を用意してくれないので、披露パーティのみ自分達で手配する必要があります。プロデュース会社が間に入って披露宴に関しては整えてくれることもありますが、教会への申し込み手続きや献金の払い込みは、すべて自分達で行うことが基本です。披露パーティのみのため、挙式料がかからない分ホテルなどの会場ではプランから割引きが利く場合も。披露パーティにかかる費用の内訳は次のような項目があります。
・ゲストの飲食費・・・1人あたり1.5万円~
・会場使用料・・・5~20万円
・会場装花・装飾費・・・5万~平均17万
・サービス料・・・飲食代の総額×0.1
・ゲストへのギフト料・・・1人あたり1000~5000円
・衣装代(挙式と衣装を変える場合)
・アテンド料
交通費
挙式に参加してくれたゲストを披露宴会場まで送迎する交通費がかかります。
すぐ近くに徒歩でいける圏内の披露宴会場があればいいのですが、ほとんどはタクシーか送迎バスを手配する必要があります。
教会(チャーチ)で本格的なキリスト教挙式を挙げる場合の費用と手配のまとめ
街にある教会(チャーチ)で結婚式を挙げたい場合は、まず信者でない人が結婚式を挙げられるかどうかの確認が必要です。申し込みや挙式以外のヘアメイクや衣装は、すべて自己手配になります。教会によって規定が異なりますので、申し込んだ教会に確認をとりましょう。結婚式を挙げるまで数回の結婚講座がありますが、夫婦になる意味を見直す上で、とても良い経験になったというカップルがほとんどです。手間をかけた分、挙式の際の儀式1つ1つに深い意味があることを理解でき、感動もひとしおです。心のこもった結婚式を挙げたい方は、ぜひ教会での伝統的な挙式を検討してみませんか。