仏前式とは?特徴・費用・流れなどを紹介

杯を捧げる花嫁© iStock.com/pdiamondp

「仏前式」とは、新郎新婦の出会いを前世からの縁と考え、現世だけでなく来世でも結ばれるようにと誓う結婚式のこと。仏教の教えに則り、仏様とご先祖様に誓いを立てるというのが特徴です。

まだまだ少数派ではありますが、最近では芸能人や外国人の方にも選ばれることが増えてきた仏前式。この記事では、仏前式の特徴や魅力、挙式の流れや費用についてご紹介していきます。

仏前式とは?

手をつなぐ和装の新郎新婦© iStock.com/Nayomiee

仏前式の特徴

仏前式とは、新郎新婦を繋いだ無数の縁に感謝をし、仏様やご先祖様に結婚の誓いを立てるという考え方を持つ結婚式を指します。二人の出会いは仏様とご先祖様による前世からの結びつきであり、現世にとどまらず来世までも結ばれるように誓う、という特徴があります。

同じ和婚ということで「神前式」と混同されてしまうこともありますが、こちらは家同士の結びつきを神様に報告するという意味を含んだ式ですので、本質的にはまったく異なるものです。

先祖代々受け継がれてきた不思議な縁に、魅力を感じる方にぴったりな挙式スタイルではないでしょうか。

こんな方に選ばれています

両親、祖父母、曾祖父母……。ご先祖様のうち誰か一人でも欠けていれば、二人が出会うことはおろか、この世に生まれることもなかったかもしれません。まるで奇跡のような結びつきには、なにか神秘的なものを感じます。

人と人とを繋ぐ見えない糸、「縁」を大切にする方に、仏前式が選ばれはじめています。

また、大勢の招待客と盛大に、というスタイルの挙式ではないため、等身大で自分たちらしい結婚式がしたいという方々にも人気があります。会場はお寺に限らず、例えばレストランや料亭でも、ご本尊を安置して式を執り行うことが可能です。

仏前式の魅力

白無垢や三三九度の杯事に、これぞ和婚!という感慨を抱く方も多いのではないでしょうか。雅楽の調べの中、自分と相手を結びつけたたくさんの縁に感謝を湛え、日本古来の儀式を粛々と執り行う……。

チャペルでの華やかな挙式も魅力的ではありますが、こうした厳かな式というのもまた、一風変わった感動が得られることでしょう。

しかしその一方で、衣装に縛りがないという側面もあります。ゲストはもちろんのこと、新郎新婦の衣装も和装に限りません。また、式次第には指輪の交換を組み込むこともできます。

荘厳さと多様性という、一見相反する特徴を持ち合わせている仏前式。日本の伝統が受け継がれている一方で、物怖じするほどの敷居の高さはないという魅力があります。

仏前式の衣装

色打掛を着た女性© iStock.com/pdiamondp

前述でご紹介した通り、仏前式の衣装は多種多様です。ここでは、仏前式で着用されることの多い「白無垢」「引き振袖」「色打掛」の3種についてご紹介いたします。

白無垢

和婚と聞いて真っ先にこの衣装を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。白無垢の白は純潔を表しており、嫁いだ先の家に染まるという意味合いが込められています。

ただ真っ白な生地というわけではなく、織り方や刺繍、裏地との重ねなど、実に多彩な組み合わせがあるのが魅力です。

引き振袖

おはしょりを作らずに着るため、裾を地面に引きずるのが特徴です。軽くて動きやすく、裾の広がりがなんとも美しい衣装といえるでしょう。

なかでも、黒引き振袖は昭和初期に一般的だった花嫁衣装で、「他の誰にも染まらない」格調高い色とされているようです。

色打掛

もとは武家の花嫁衣装だった色打掛。重厚感があるので動きにくさはありますが、色合いの華やかさに思わず目を惹かれてしまいます。

また、帯にあたる背中の部分に施された派手な模様が、きらびやかな生地とのコントラストで一層美しくに目に映ることでしょう。

 


 

このほかにも、ウエディングドレスや洋装を選ぶことも可能です。もちろん、招待客の方々も同様です。和婚だから和装でなければならないということはありません。中には衣装の面で二の足を踏んでしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心くださいね。

挙式当日の一般的な流れ

式を執り行う和装の新郎新婦© iStock.com/pdiamondp

ここでは、挙式当日の大まかな流れを紹介させていただきます。なお、式次第の内容や順序は、寺院や宗派、新郎新婦の要望により異なる場合もあります。

1 参列者・新郎新婦・僧侶入堂

雅楽の調べとともに、新郎新婦・参列者・僧侶が入堂します。入堂は参列者、新郎新婦、僧侶という順が多いですが、すべての式がその限りではないようです。

2 勤行

僧侶によって仏様やご先祖様へのお経が読み上げられ、新郎新婦と参列者は合掌をします。

3 表白・司婚の言葉

僧侶が新郎新婦の名とあわせ、挙式を執り行うことの意味を持つ「表白」を読み上げます。その後、新郎新婦に「司婚の言葉」を述べます。

4 誓いの言葉

新郎新婦が誓いの言葉を述べます。

5 念珠授与

新郎新婦の誓いを受け、僧侶から二人に念珠が授けられます。新しい念珠を手に、新郎新婦は焼香へ向かいます。

6 焼香

新郎、新婦の順で焼香し、二人そろって合掌をします。

7 指輪の交換

僧侶に手渡された指輪を、新郎新婦がそれぞれの薬指にはめて交換します。

8 交杯

三三九度の杯事です。はじめに夫婦交杯が行われ、次いで親族、そして参列者一同で乾杯をします。

9 退堂

新郎新婦が尊前で礼、そして雅楽の調べのなか二人で退堂します。

仏前式にはどれくらいの費用がかかるの?

チャペルでの挙式より安く抑えられる

一般的に、チャペルや教会で執り行われる結婚式費用は、挙式のみでも30~35万円が平均とされています。ですが、仏前式の費用は10~25万円程度に抑えることができます。

そればかりか、プランによっては、参列者との食事会を含んで20万円前後という価格帯に収めることも可能なようです。

仏前式の特性上、大勢の参列者を招いて盛大な式を執り行うことはできませんが、本当に大切な方々だけに参列してもらい、そのうえ費用も抑えられるという点は大変な魅力ではないでしょうか。

プランによって費用は様々

安く抑えられるとはいえ、プランの内容には注意が必要です。また、衣装や着付けが費用に含まれていない場合には別途自分たちで手配をしなければなりません。

ほかにも、写真撮影や新婦のかつら等のオプションをつけることにより、価格は大きく変動します。

式を請け負う会社によって多少のばらつきはありますが、衣装、着付け、ヘアメイク、メイクが含まれたプランで挙式のみを行った場合、費用は初穂料も含めて10~15万円になります。

これにオプションや披露宴をつけたとしても、かなり安い価格にできるのではないでしょうか。

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どんな会場で挙げるの? さまざまなスタイルの仏前式会場

新郎新婦の足元に散るイチョウの葉© iStock.com/voyata

寺院での挙式

和婚と聞いて多くの方が連想するのが、寺院で執り行われる挙式だと思います。新郎新婦に思い入れやゆかりのある寺院や、先祖代々のお墓がある菩提寺での式が多いです。

自宅での挙式

お寺で行うのが一般的ですが、僧侶を自宅に招き、仏壇の前で式を挙げることもできます。何らかの事情で自宅から長く離れられない、という方にはぴったりではないでしょうか。

ホテルや海外でも!

仏前式という字面から、日本でないと執り行えないような印象がありますがそれは違います。海外に寺院が存在する宗派もあるため、仏前式をハワイで、なんてこともできてしまいます。

また、披露宴と挙式をいっぺんに行いたいというに方は、ホテルやレストランでの式をおすすめします。

なんとなく厳しそうなイメージに反し、仏様とご先祖様に縁を感謝する気持ちがあれば実に柔軟に執り行える挙式、それが仏前式なのです。

仏前式の注意点

水面に桜が映る杯© iStock.com/gyro

これまで、仏前式について堅苦しく考えすぎたり、必要以上に身構える心配はないとお伝えしてきました。とはいえ、気をつけなければならない点もいくつかあります。しっかりとポイントをおさえ、当日慌てずに済むように備えましょう。

参列者は親族のみが基本

友人の招待が可能な場合もありますが、基本的に参列者は親族のみが基本です。おおよそ10~15人の規模だと考えていいでしょう。たくさんのゲストを招き、華々しく祝いたいという方には不向きかもしれません。

式は正座で進行

仏前式は基本的に正座での進行になります。足腰の不自由な方にはあらかじめ座椅子を手配をしたり、女性の方には長めのスカートを着用するのが望ましいことをお知らせすると親切でしょう。

数珠が必須

式の際には数珠が必要になります。数珠の宗派は問いませんので、招待状には数珠の持参が必要なことを明記しておきましょう。

「縁」を結んだお二人に

紅葉の中を傘を持って歩く新郎新婦© iStock.com/E-mi
縁や結びつきを大切に考え、深い思い入れを抱く方にこそおすすめしたい仏前式。お二人の人生の門出に、連綿と受け継がれてきた日本の文化を取り入れることも、また一興ではないでしょうか。

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