結婚式費用への両親・祖父母の援助やご祝儀に贈与税はかかるか?

結婚式費用の贈与税について©takkun – shutterstock.com

結婚でかかる費用の親からの援助の調査で、実に7~8割近くのカップルが親や親戚から援助を受けています。使い道の内訳の多くが結婚式の費用に費やされるのですが、援助の額やお金の使い道の費用項目によって贈与税がかかるケースがあるのです。結婚にはまとまったお金が動きますので、贈与に関する法律をまとめました。(情報は2018年9月現在のもの)

贈与税とは

贈与税とは

贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。
自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合、あるいは債務の免除などにより利益を受けた場合などは、贈与を受けたとみなされて贈与税がかかります。死亡した人が自分を被保険者として保険料を負担していた生命保険金を受け取った場合は、贈与税でなく相続税の対象となります。
会社など法人から財産をもらったときは贈与税ではなく、所得税がかかります。

贈与税がかかる金額

贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)。

出典元はこちら
贈与税がかかる場合

結婚式にかかる平均的な費用と親・親戚からの援助

まずは、結婚式にどれぐらいのお金が動くのか、世間一般的な援助の平均額を知っておきましょう。

【結婚にかかる費用と援助の割合】
結婚(婚約・結婚式・新婚旅行)のため親から援助があったカップル・・・76.1%
結婚にかかる総額(婚約~結婚式~新婚旅行までトータルかかった費用)・・・463.3万円
親からの援助の平均額・・・182.0万円

【結婚式にかかる費用と援助の割合】
結婚式のため親から援助があったカップル・・・69.4%
挙式、披露宴・披露パーティにかかる総額 ・・・354.8万円
親からの援助の平均額・・・160.5万円
ご祝儀の平均額・・・230.7万円

データ参照:リクルート ブライダル総研 結婚トレンド調査2017

結婚への親からの援助と贈与税

結婚への親からの援助と贈与税©WAYHOME studio – shutterstock.com

結婚式での援助金は、全国平均で1人当たり110万円以上受け取っていることがほとんどです。結婚に関する費用の贈与税はどうなっているのでしょうか。

親が直接結婚・結婚式の費用を支払う場合

親が結婚式にかかる費用を、二人に代わり親が支払う場合は、贈与税はかかりません。
結婚式は地域や家族間でさまざまな形式があり、ゲスト数や招待する範囲もさまざまです。両親の知人や親族を多く招待するため、結婚式の費用を親が負担することが一族や地域の慣習になっている場合も考えられます。このような場合には、各事情に応じて本来費用を負担すべき者がその費用を分担しているケースにあたり、贈与には当たらないことから課税対象にはなりません。

親から一括で贈与を受け取る場合

「直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの」とされており、挙式等費用 ・新居の住居費 ・引越費用など、国が定めた一定の要件を満たしている場合は贈与税がかかりません。
子育て費用として1000万円まで、結婚費用は300万円まで(一括贈与は1000万円までが限度)が非課税となり、一括で贈与を受けることができます。
ただ親から直接結婚費用を現金で手渡されただけの場合は、「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」にあてはまりません。結婚費用300万円まで贈与税がかからないようにする条件は、次の章で説明します。

「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」とは

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」というのは、

・父母や祖父母の直系尊属の贈与者が
・2015年7年4月1日~2019年3月31日の間に
・子や孫の20歳以上50歳未満の人に対して
・一括で子育て・結婚資金を贈与して銀行の名義が子や孫の口座に預ける

以上の場合に、贈与税が1000万円まで課税されないものです。
結婚資金に関しては300万円までの非課税が可能です。
次のような条件で300万円までが非課税となります。

【結婚資金の一括贈与が非課税となるための条件】
・入籍日の1年前に贈与したものはあてはまらない。
・金融機関等と契約して結婚・子育て資金口座を開設し、一括で預け入れする。
・結婚費用などの支払いがあった年の年末までの領収書を提出して払い出しをする。
・その年の翌年の2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告書を納税地の所轄税務署長に提出する。
・贈与された側が50歳を超えると結婚・子育て資金口座の契約が終了して、残額は終了時点に贈与されたものとなり、贈与税がかかる。

出典元はこちら
直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

結婚・子育て資金非課税申告の手続方法についてはこちら
結婚・子育て資金非課税申告の手続

結婚資金として課税されない費用項目

結婚資金として認められる費用項目で一括贈与の対象となるものです。挙式等費用 ・新居の住居費 ・引越費用が対象になります。

挙式等費用

挙式や結婚披露宴を開催するために要する挙式代、会場費などになります。具体的には会場費、衣装代、飲食代、引き出物代、写真・映像代、演出代、装飾代、ペーパーアイテム(招待状等)、人件費など。(入籍日の1年前以後に支払われたものに限る。)

新居の住居費

結婚を機に借りた物件の費用です。購入は対象外です。賃料(契約更新後は更新後の賃料)、敷金、共益費、礼金(保証金などこれに類する費用を含む。)、仲介手数料、契約更新料(入籍日の1年前後以内に締結した賃貸借契約に関するものに限る。また、当該契約締結日から3年を経過する日までに支払われたものが対象となる。)

引越費用

結婚を機に移り住む住居先に転居するための引っ越し代(入籍日の1年前後以内に行ったものに限る。)

贈与税の課税対象になる費用項目

結婚準備にかかわる費用でも、次の項目は挙式や結婚披露を開催するための費用ではない対象外で贈与税の対象になります。

・結婚情報サービスの利用、結婚コンサルサービスなど婚活に要する費用
・両家顔合わせ、または、結納式に要する費用
・婚約指輪、結婚指輪の購入に要する費用
・エステ代
・挙式や結婚披露宴に出席するための交通費(海外渡航費を含む)や宿泊費
・新婚旅行代
・配偶者や勤務先など本人以外が締結した賃貸借契約に基づくもの、駐車場代(家屋の賃貸借契約とは別に駐車場のみを借りている場合)、地代、光熱費、家具・家電などの設備購入費
・配偶者の転居にかかる費用や不用品の処分費用

住宅購入・預貯金に回した場合

親から贈与された結婚資金のあまった金額を預貯金としたり、株式や家屋の購入費用に充てられた場合、贈与税の課税対象となります。住宅の購入資金の贈与については、申告が必要な規定として、『住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の規定』があります。

規定について詳しくははこちら
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の規定

結納金・ご祝儀への贈与税はかかるか

国税庁のWEBサイトに記されている贈与税がかからない場合のケースとして、「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」には贈与税はかからないとされています。ご祝儀や結納金はこのケースに当てはまります。
両家の“格”を考え、一般的に常識の範囲内での金額であれば贈与税は課税されません。ただ、明らかに一般的な額を超えていた場合や、結納金を結婚資金として使わず、貯蓄や株式の購入・住居購入費用に充てた際には贈与とみなされ、贈与税がかかるケースがあります。

出典元はこちら
贈与税がかからない場合

結婚式費用への親・祖父母からの援助への贈与税のまとめ

結婚と結婚式に対して、どこまでを親の援助と考えるかに関してはさまざまなとらえ方がありますが、親が直接支払うのではなく、銀行口座を通して一括で贈与してもらった場合には、現在の法律では300万円以下であるなら非課税にするための手続きが必要になります。また、考え方としての非課税の対象となる費用項目も範囲が定められています。大きな金額が動く結婚に関して、事前に法律の知識を深めておく必要があります。

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