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結納の挨拶には、特殊な口上や決まり文句があることをご存じですか?聞き慣れない言葉や堅苦しい雰囲気に気遅れしてしまうかもしれませんが、ポイントさえ覚えてしまえば怖いことはありません。予習を完璧にして、スマートに儀式を執り行いましょう!
目次
結納とは
結納とは、両家の結びつきを強めるために行われる婚約の儀式です。
仲人が両家を行き来し、両家同士が顔を合わせずに行われる「正式結納」と、料亭やレストランで両家が顔を合わせる「略式結納」がありますが、近年では略式結納が一般的となっています。
独特な口上や決まり文句を交わしながら執り行われ、結納品や結納金を納め合うという儀式ですが、地域やその家のしきたりによってやり方もさまざまです。
結納の挨拶の流れ
ここでは、現代における結納の挨拶の大半を占める「略式結納」の流れをご紹介します。
まず、一般的な略式結納の流れは以下の通りです。
- 始めの挨拶
- 男性側から女性側へ結納品を納める
- 女性側が目録を確認し、受書を渡す
- 女性側から男性側へ結納品を納める
- 男性側が目録を確認し、受書を渡す
- 結納品交換後、婚約記念品をお披露目
- 結びの挨拶
「目録」とは結納品の一覧が書かれた紙で、いわば納品書のようなものです。また、「受書」は結納品の受領書としての役割を果たします。
正式結納での結納品は「目録・金包・熨斗・末広・松魚料・酒肴料」など、様々な意味やしきたりのある品を9品目送り合いますが、略式の場合は品目を減らしても構わないようです。その場合、無断で品目を減らしてしまうと失礼に当たってしまうので、両家での話し合いを怠らないようにしましょう。なお、「割り切れない」数である奇数品目を用意するのが一般的です。
それでは実際に、結納の挨拶の流れを見ていきましょう。※がついている箇所は後ほどご説明いたします。
全員 | 結納品を飾り付け、両家着席 | |
1 |
父親(男性側) | 「この度は〇〇様と息子△△との縁談をご承諾いただき、誠にありがとうございます。 本日はお日柄もよろしく、婚約の証として結納の品々をご持参いたしました。※① 幾久しくお納めください。」※② |
2 | 男性側から女性側へ結納品を納める | |
女性本人 | 「ありがとうございます。 ご納品の品、幾久しくお受けいたします。」※② |
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3 | 女性側が目録を確認し、受書を渡す | |
父親(女性側) | 〇〇からの受書でございます。 幾久しくお納めください。※② |
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4 | 女性側から男性側へ結納品を納める | |
男性本人 | ありがとうございます。 ご納品の品、幾久しくお受けいたします。※② |
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5 | 男性側が目録を確認し、受書を渡す | |
6 | 結納品交換後、婚約記念品をお披露目 | |
7 |
父親(男性側) |
本日はどうもありがとうございました。 おかげさまで、無事に結納を納めることができました。 今後とも末永くよろしくお願いいたします。※③ |
父親(女性側) | こちらこそ、誠にありがとうございました。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。※③ |
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記念撮影・歓談など |
すべての動作を始めるのは、一般的に男性側の父親となっています。ですが、父親が不在の場合には母親が代行してもマナー違反ではありません。父親がいないから結納の儀式ができない……。ということはありませんので、ご安心くださいね!
結納の挨拶の口上
先ほどのご説明で、なんとなく流れはつかめたでしょうか。では、それぞれの挨拶や口上について、詳しく見ていきましょう。
①結納式開始の挨拶
ここでの挨拶として、「お日柄もよく」という言葉が使われていますが、お日柄とは天気ではなく六曜を指します。一般的に、結納は大安や友引など縁起がいい日に行われるので、このような言い回しになるのですね。
②結納品・受書の受け渡し
結納品や受書の受け渡しを行う際、
「幾久しくお受けいたします」
「幾久しくお納めください」
という言葉が使われています。これは「いくひさしく」と読み、「いつまでもずっと」や「これからも変わらず」というような意味があります。
③結びの挨拶
無事に式を終えられたことを、お互いに感謝する挨拶です。この時、両家の今後のつながりについて一言述べると、お互いに印象が良くなるでしょう。
また、両親ではなく本人が挨拶をする場合もあります。例文は以下の通りです。
「本日は私たちのためにお集まりいただき、誠にありがとうございました。これから先、二人で温かな家庭を築いていくつもりです。今後ともどうぞ末永くよろしくお願いいたします。」
本人主体?家が主体?
結納の挨拶には「結婚する本人たちが主体」という場合と、「家が主体」という場合があります。今回の流れとしては本人が主体の場合のご紹介をしましたが、家が主体の場合には口上も少し変化します。例を見てみましょう。
・始めの挨拶
「この度は田中家の次女〇〇様と、私ども吉田家の長男△△にご縁をいただきましてありがとうございます。」
・結納品・受書の受け渡し
「こちらは吉田家からの結納品でございます。幾久しくお納めください。」
大きくは変わらないので、言い換えは難しくありません。あくまで「本人」よりも「家」を意識した言い回しを意識しましょう。
忌み言葉には気をつけて!
結婚式の挨拶と同様に、結納の挨拶にも忌み言葉があります。例えば「切れる」「離れる」といった別れを連想させる言葉や、「重ね重ね」「いよいよ」というように繰り返す言葉はNGとされています。
事前にある程度話すことを決めておき、そこに忌み言葉が含まれていないかをあらかじめ調べておくと安心ですね。
口上が覚えられるか不安な時は
普段言い慣れない言葉ばかりが立ち並び、不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方は最低限、
「お日柄もよく」
「幾久しくお納めください」
「幾久しくお受けいたします」
の3つさえ覚えていれば大丈夫。
すべての口上を暗記する必要はありませんので、肩の力を抜いて臨んでくださいね。
しっかりと予習し、結納の挨拶に臨みましょう!
いかがでしたか?緊張する上に慣れないことの多い結納ですが、要点さえおさえておけばもう怖くありません。当日自信をもって儀式ができるよう、しっかりと準備をしておきましょう