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2020年現在、女性の結婚年齢は16歳、男性は18歳ということはご存じですよね。ですが、民法改正案が閣議決定されたことで、女性が結婚できる年齢は18歳に引き上げられることとなりました。
この改正案による結婚への影響や、結婚観が変化する可能性について解説します。
目次
女性の結婚できる年齢が変わる?
現在の成人年齢は、男女ともに20歳です。これまで、日本では男性が18歳、女性が16歳での結婚が可能でした。しかし、民法の改正により、2022年の4月から成人年齢が18歳に引き下げられます。それに伴い、女性の結婚年齢も16歳から18歳へと引き上げられ、男女の結婚できる年齢が18歳に統一されることとなりました。
結婚できる年齢が男女で違うのはなぜ?
結婚年齢に関する法律は、明治時代の民法により女性が15歳、男性が17歳と定められ、戦後の民法改正で現在の年齢に引き上げられました。結婚年齢に男女の差があるのは、いくつかの理由が考えられます。
まず理由として挙げられるのは、女性が男性に比べると心身の成熟が早いことです。次に挙げられるのは、男性の経済力、つまり男性は女性をリードし、家庭を支える力が求められたと考えられます。このように、精神や肉体の成熟度、経済力の観点から、男女の結婚年齢に差が生まれたとされているようです。
日本における結婚できる年齢の変遷
法律上で婚姻できる最低年齢のことを婚姻適齢といい、日本においても何度か制度の改正が行なわれ、現在の年齢になっています。
8世紀頃の日本では、男子が15歳、女子が13歳と定められ、明治に入ると、男子は17歳、女子は15歳と、男女ともに年齢が引き上げられました。
現在は民法第731条「婚姻適齢」の規定により、「男は18歳に、女は16歳にならなければ、婚姻することができない」とされています。
そして2022年4月、民法改正により男女ともに18歳で婚姻適齢が統一されることになりました。
結婚できる年齢が変わることへの声
女性の結婚できる年齢が変わることにより、世間の反応も様々のようです。
賛成意見
海外では、男女の結婚年齢は統一されていることが多く、男女平等の観点からも年齢の統一について賛成の声があります。また、「女性は早く結婚するべき」といった固定概念が薄れることにも期待が持てるようです。
反対意見
結婚年齢を引き上げることで晩婚が増え、少子化の加速が懸念されているようです。
また、18歳以下で出産をした場合の心配もあります。出産の影響で結婚までの期間が延びることにより、責任逃れする男性が出てくる可能性、女性は未婚の母となる可能性があることへの不安も考えられるのです。
結婚年齢が変わることの影響は?
女性の結婚できる年齢が変わることにより、若年層の結婚にはどのような影響があるのでしょう。
親の同意がいらない
成人するということは、親の同意が無くても契約を結べるということにもなります。そのため、たとえ18歳であっても結婚するのに保護者の同意は必要ありません。
しかし、18歳といえばまだ高校生の年齢。十分な判断力があるとはなかなか言い切れない歳ですので、気持ちが盛り上がってそのまま結婚!という早まった考えを実行できてしまう、という危険性もあります。
養子を受け入れられる年齢は?
養子の受け入れ可能な年齢は、現行の法律のまま20歳で変わらないようです。子どもは経済的に安定していないと養いきれませんから、これは当然なのかもしれませんね。
施行日時点の年齢は結婚にどう関係する?
切り替わり時期なのでわかりにくいかもしれませんが、施行日の2022年4月1日時点で16歳以上であれば、引き続き18歳未満での結婚が可能のようです。
若い夫婦を狙った詐欺に注意!
成人といっても、18歳という年齢はまだそれほど世間を知らない年頃です。そんな若い二人が夫婦になると、プラスのことはもちろんありますが、マイナスな側面もあるでしょう。例えば、18歳同士の夫婦を狙った悪徳商法や詐欺行為が出てくるかもしれません。女性の結婚年齢が上がったとしても、成人年齢は下がるわけですから、成人を守る体制作りが大切になりますね。
結婚年齢の変更による結婚観の変化
女性の結婚できる年齢を引き上げられることで、結婚観に変化があると予想されています。
晩婚化への影響
現在日本では少子化が進んでいます。その原因の一つとして考えられるのが、晩婚化です。晩婚化の主な理由には、女性の社会進出や若者の経済力の変化などが挙げられます。しかし、女性の結婚年齢が引き上げられることで、結婚への意識が低くなるともいわれているようです。女性だけ年齢が低かったことで、「女性は早く結婚するもの」という固定概念から解放され、男性と同様に社会に属していようとする可能性もあるでしょう。
未婚化への影響
晩婚だけでなく、未婚を選択する結婚観も増加しています。女性の結婚年齢が引き上げられることが直結するわけではありませんが、「女性は早く結婚しなくてもいい」「男女平等」という認識が起こることは確実です。すると若者の結婚に対する意識が薄れ、結婚しなくても困らないという結婚観が生まれ、少なからず未婚化に影響をもたらす可能性があると考えられます。
結婚できる年齢よりも大事なのは冷静な判断
2022年には、民法改正により成人年齢が18歳に引き下げられ、女性の結婚できる年齢が16歳から18歳に引き上げられます。
親の同意なく18歳から結婚できるようになりますが、結婚には責任が伴いますし、親を無視して勝手に結婚することが良いことでもありません。
また年齢を重視しすぎると、その後の結婚生活に支障が出てくる可能性が高まります。
大切なことは、将来をしっかりと見据え冷静に判断することですので、年齢以外にも幸せな結婚を送ることができる状況かどうかも考えるべきでしょう。