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和装して和風の要素を取り入れた結婚式「和婚」がいま、人気です。和の心を大切にしたおもてなしが再注目される中、挙式を和風の人前式で行いたいと希望するカップルが増えています。和婚では神社や神殿での神前式だけでなく、和装に合うよう演出を工夫した自由な人前式もおすすめです。流れと演出アイデアをまとめました。
目次
和風結婚式「和婚」の挙式で人前式を選ぶメリット
和婚とは、二人の衣装に和装を選び、会場・装飾・演出に日本の伝統的なテイストをふんだんに盛り込んだ和風結婚式のことです。戦後ほどなくは和装の結婚式が一般的でしたが、現在では欧米風のスタイルが主流となっているため、むしろ和婚は演出面やおもてなし面で新鮮で、本来の結婚式の在り方を見直せると人気が出ています。
このため、神様ではなくゲストに結婚を誓う「人前式」も、洋風ではなく和装で和のテイストを盛り込んで行うカップルが急増中です。実は日本の伝統的な結婚式は「祝言」といい、神前式ではなく人前式でした。そのため、日本人にとって人前式は、昔から馴染みのある挙式スタイルなのです。
和婚で、和風スタイルで人前式を行うことは、次のようなメリットが挙げられます。
場所・人を選ばない
和婚ですぐに思いつくのは神前式ですが、神前式には専用の神殿設備と神に仕える人(神官)が必要で、神官が誘導する作法・マナー・儀式はその宗教の教義に沿って進行しなければなりません。人前式には神殿の設備や神官にお願いする必要はないため、会場や場所をそこまで限定されない強みがありります。
自由な流れ・演出が可能
人前式は無宗教なので、挙式の儀式に教義やマナー・作法は必要ありません。儀式の意味を二人で自由に解釈し、プログラムを作ることができます。また、他の挙式スタイルから良いなと思ったアイデアやイベントは、雰囲気に合うようにアレンジして取り入れることもできます。
ゲスト全員が参列できる
神前式は神殿で行うという挙式スペースの問題から、参列者は20~40名前後に限られるため、参列者の招待は家族・親族中心になります。人前式であれば、収容スペースの問題さえクリアできれば、ゲストの招待人数や範囲に制限はなく、ゲスト全員に挙式に参列してもらうことができます。
神前式後にもう一度お披露目挙式ができる
神様に結婚を誓うのは一度きりですが、披露宴会場内でも挙式可能な人前式であれば神前式後の披露宴からの出席者にも挙式を披露することができます。挙式と別日に行うお披露目会や海外挙式の帰国後パーティを和装で、和婚人前式を挙げることができるのです。
和の挙式演出が新鮮
昔は一般的だった和婚も、現在結婚式で和装を選ぶ人は30%前後と少ないのが現状で、挙式も欧米の様式であることがほとんどです。神前式より格式ばらず、アットホームに行える人前式を和テイストにすることは、他のカップルと大きく差別化でき、ゲストにとって新鮮な演出です。
和婚での人前式の流れ
和婚の人前式のプログラムと流れ
和婚での人前式プログラム・流れは、洋風の一般的な人前式の流れと変わりはありません。人前式の流れの考え方は制約がなく、二人が自由に決めることができます。
この流れの中に、日本の伝統的な祝言・神前式の儀式や流れを取り入れたり、チャペル挙式では定番の洋風演出を和風にアレンジして取り入れる演出が人気です。
例えば誓いのキスをプログラムに入れたり、フラワーシャワーを紙吹雪にしたり、ターズンローズを薔薇から和テイストの花に変更するなど、工夫次第でさまざまなアレンジアイデアがあります。
一般的な人前式の流れ
人前式のプログラムの順番や演出は自由ですが、儀式スタイルとして次のような内容が組み込まれた流れが一般的です。参考にしてください。
人前式の流れと内容のより詳しい説明はこちらから
【一般的な人前式のプログラム例】
1.新郎新婦入場
ゲスト全員が見守る中、新郎・新婦のふたりが入場。
2.開式宣言
司会者が開式を宣言。ゲストに結婚の証人となってもらうことを説明。
3.誓いの言葉
二人が考えた結婚の誓いの言葉を、ゲストの前で宣誓。
4.指輪の交換・披露
結婚指輪をお互いに交換。 ゲストに披露
5.結婚証明書にサイン
結婚証明書(婚姻届の場合も)に、新郎新婦・立会人となるゲスト代表が署名捺印。
6.結婚の成立宣言と承認の拍手
司会者が結婚証明書または婚姻届をゲストに披露し、二人の結婚を宣言。
7.新郎(新婦)挨拶
新郎がゲストに挨拶の言葉を述べます。新郎に続き新婦も挨拶を行うケースも増えています。
8.閉式の言葉
司会者が閉式を宣言。ゲストに結婚立ち会いの礼を述べます。
9.新郎新婦退場
フラワーシャワーやライスシャワーなどの演出でゲストがふたりを祝福。
和婚の人前式で取り入れたい和の演出やイベント
自由な演出が取り入れられる和婚の人前式だからこそ、和の伝統的な儀式の意味を知ってプログラムに取り入れたり、洋風の演出を和風にアレンジして、ゲストにとって懐かしく新鮮な挙式スタイルにすることができます。和婚の人前式に取り入れられる演出アイデアをまとめました。
和婚での人前式に取り入れたい神前式・祝言の流れ
入場前に両親に挨拶の時間を設ける
日本の伝統的な挙式スタイルである神前式や祝言では、挙式前に新郎新婦が両親・親族に挨拶をする時間を設けます。ファーストミートとはまた違った、改まった気持ちで家族と向き合う時間を作ることができます。
入場は母親と
教会式の入場は父親とですが、日本の祝言スタイルは母親に手を引かれて入場する流れです。他の挙式ではなかなか見ない入場スタイルなので、取り入れるとゲストにとっては新鮮です。もちろん、人前式なので両親両方と入場するアイデアもあります。
夫婦・家族・親族と盃を交わす
祝言・神前式の流れでは両家が夫婦・家族・親族の絆を結ぶため、お酒を盃で酌み交わします(三々九度や夫婦固めの盃など)。家族の絆を確かめ合う演出として、またはゲスト全員に盃を回して酌み交わす流れを作るのも、和婚スタイルらしくておすすめです。
和婚人前式で取り入れたい祝言や神前式の和の儀式
和婚の人前式で演出として取り入れられる伝統的な儀式です。
筥迫の儀
筥迫(はこせこ)とは花嫁道具の1つで昔の化粧ポーチ。はこせこを母親から花嫁へ、花嫁支度の最後の仕上げとして胸元に収めてもらう儀式で、チャペル式のベールダウンのようなイメージです。本来は挙式前の支度の際に行いますが、人前式では演出としてプログラムに取り入れることができます。
紅差しの儀
紅差しの儀とは、筥迫の儀同様、母親が花嫁の花嫁支度の最終仕上げとして、口紅を塗ってあげる儀式のこと。こちらも本来は挙式前の準備の際に行いますが、儀式として人前式の中に取り入れて演出できます。
水合わせの儀
北陸地方の婚礼の風習で、両家実家から汲んできた水を1つに合わせて新婦が飲み干すというのが本来の「水合わせの儀」。別々の水(環境)で育ってきた二人が、家風の違いを乗り越え一つとなり、新たな家庭を築いて行けるようにと願う儀式です。現代風にアレンジしたものでは、両家の水を1つの植木に注いだり、両家が持ち寄ったお酒で果実酒を作ったり…とさまざまなアレンジアイデアがあります。
和婚人前式で取り入れたい和の演出
折り鶴シャワー・紙吹雪シャワー
フラワーシャワーを花びらだけでなく、折り鶴や紙吹雪を混ぜて華麗に和風に演出できます。
獅子舞を招待
お菓子巻き
東海地方での定番演出は、和婚の人前式の人気演出です。
雅楽の演奏やBGM
雅楽のプロ演奏を呼んだり、和奏のBGMを流したりと、音楽で和婚の人前式を演出できます。現代のポップスを和楽器で演奏したアレンジBGMのCDも、現在は多く販売されています。
お守りの交換
神社で買ってきたお守りを指輪の代わりに交換します。
結婚証明書を和風に
巻物風や毛筆フォントでの和風に仕上げた結婚証明書。ウエディングツリーのように、ゲストに捺印してもらって仕上げるアイデアも。
リングピローを和風に
見た目もしっとりした和風リングピロー。リングガールにも振袖を着てもらうと雰囲気が出ます。
【和風リングピロー】
【和装リングガール】
ブーケ・ブートニアを和風に
神前式ではブーケを持つ演出はありませんが、和装に合うブーケ・ブートニアを用意できるのが和婚人前式。定番のボールブーケや竹の籠に入れたハンギングブーケなど、和のテイストを生かした和装に合うアイデアがいっぱいです。
【和装ブーケ】
【ボールブーケ】
【ハンギングブーケ】
【和風ブートニア】
和婚人前式で取り入れたい和の会場と装飾
チャペルや挙式会場を和風に装飾
ホテルや専門式場が用意するチャペルや挙式会場なら、ほとんどの場所で和風の装飾を施しての人前式が挙式可能です。
【挙式会場】
【チャペルを和風に】
料亭・座敷での祝言スタイル
どこでも挙げられるのが人前式。料亭やホテルなど個室で、祝言スタイルの人前式を行うのも雰囲気が出ます。
ガーデンで和装人前式
和婚の人前式を計画する際の注意点
家族・親族・年配や目上のゲストに確認と了承をとる
形式や伝統を特に重んじる家族や年配の親族にとっては、日本の伝統的な挙式スタイルをアレンジしすぎていると見る向きもあります。神前式ではなく人前式を行うことにした理由やの説明や、家族の考え方について確認をとっておきましょう。
チャペルや挙式会場が和の装飾が可能か確認を
和婚の人前式は、ホテルや専門式場が用意するチャペルや挙式会場なら、ほとんどの場所で和風の装飾を施しての人前式が挙式可能です。ただ、建物そのものがキリスト教の宗教色が濃いチャペルでは難しい場合もありますので、会場に確認をしてください。
挙式内容によっては費用が高くつく場合も
一般的に人前式では、キリスト教式のチャペル式より挙式料がかからないのですが、和婚の人前式では元々洋風に作られている会場を和風に装飾・アレンジするため、装飾費用が洋式の挙式よりかかるケースもあります。また、人前式の演出にこだわり凝ってしまうと、(プロの雅楽演奏を呼ぶなど)それ相応の費用がかかります。
和風結婚式「和婚」で人前式の流れ・演出・注意点まとめ
新郎新婦が和装して和風の要素を盛り込んだ結婚式「和婚」での挙式スタイルは、神前式だけでなく、人前式を選ぶことができます。和婚での人前式の流れ・内容は、洋風の結婚式と同じですが、演出に和のテイストを盛り込んだり、洋風の儀式を和風にアレンジしたり、神前式や祝言での伝統的な儀式を盛り込むなど、自由でゲストにとってもより新鮮な演出を取り入れることができます。結婚式で和装して、和婚を思いきり楽しみ素敵な思い出にするために、ぜひ参考にしてくださいね。