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結婚をして夫婦と呼ばれるようになってから抱える問題は、その家庭によってさまざまですよね。仲睦まじく見える夫婦であっても、実は離婚の危機を迎えている場合もあるでしょう。
夫婦といえども元は他人であり、育ってきた環境が違う人間同士です。共に長く過ごせば過ごすほど、「離婚」を考えた夫婦は少なくないはずです。そこで、一度は将来を誓い合った仲がどうして離婚を考えてしまうのか。離婚原因の上位を見ながら解説していきます。
目次
離婚を考えたことがある夫婦は約5割
夫婦として過ごす中で、相手に対して感じる不満や結婚生活の疲れなどから、「離婚」を一度は考えたことがある夫婦は少なくないでしょう。
リクルートブライダル総研の離婚に関する調査2016のデータによると、「有配偶者において、別居を考えたことがある割合」は、
- 42.9%
- 少し考えたことがある29.6%
- 本気で考えたことがある18.2%
と、約5割の人が離婚を考えた経験があるといった結果でした。このことから、約半数にあたる夫婦が何らかの理由によって離婚を考えたことが分かりました。
では、離婚の原因にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。リクルートブライダル総研のデータを元に次からご紹介していきます。
1位 | 価値観の違い | 46.4% |
2位 | 人生観の違い | 40.9% |
3位 | 性格の不一致 | 38.7% |
4位 | 金銭感覚の違い | 36.4% |
5位 | 夫婦の会話がない | 29.2% |
6位 | 【相手の】浮気 | 19.5% |
7位 | 【相手の】モラルハラスメント | 18.5% |
8位 | 【相手の】借金 | 17.8% |
9位 | 時間の擦れ違い | 17.3% |
10位 | 【相手が】家事に協力的でない | 17.0% |
11位 | 子育てに関する考え方の違い | 16.8% |
12位 | 【相手が】育児に協力的でない | 14.3% |
13位 | 【相手の】DV、暴力 | 12.6% |
14位 | 【あなたが】相手の親や親族と不仲 | 11.8% |
15位 | 【相手が】相手の親や親族と不仲 | 10.9% |
以下の順位は下記の通りとなっていますが、離婚理由の上位はいずれも、考え方の相違からなるものであることが分かります。また、10位の「家事に協力的でない」12位の「【相手が】育児に協力的でない」8位の「【相手の】借金」の3項目は、男性が10%以下、女性は20%以上を離婚理由として挙げています。離婚の原因は、その理由によっては男女差があることがわかります。
16位:その他……7.2%
17位:【あなたの】浮気……6.9%
18位:【あなたの】借金……5.1
19位:【あなたの】モラルハラスメント……2.3%
20位:【あなたが】家事に協力的でない……1.5%
21位:【あなたが】育児に協力的でない……1.3%
22位:【あなたの】DV、暴力……0.9%
データ参照:離婚に関する調査2016(リクルートブライダル総研調べ)
離婚の理由は男女ともに価値観の違いが多い
夫婦ともに1位の離婚原因は「価値観の違い」です。そもそも、他人であった男女が生活を共にするのですから、価値観の違いは当然のように生まれるものでしょう。
結婚はイコール生活です。お金や子育てなど生活が絡んでくるため、付き合っていた頃の関係性とは違って、夫婦ならではの問題が起こりやすくなるといえます。
家庭を育み夫婦として生活をしていくうえで、大きく影響するのが価値観であり、何に重きを置き、大切にするかは人それぞれであり、明確な答えがないものです。
ではどうして、価値観の違いは仕方がないと分かっていても、離婚原因のトップになってしまうのでしょうか?以下の離婚原因ランキングで詳しくご説明していきます。
裁判の場合は価値観の違いのみで離婚は認められない?
離婚には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚と4つの種類があります。離婚方法の約9割は協議離婚、いわゆる双方の合意があれば成立する離婚が選ばれます。
ですが、夫婦間での話し合いがこじれたり、双方の同意が得られなかったりした場合は、次の段階へと進むことになります。その際、裁判では「価値観の違い」や「性格の不一致」だけの理由では、離婚理由として法的には認められにくいとされています。
裁判離婚となる場合、やむを得ず婚姻の継続が難しいと証明される場合のみ認められることとなります。性格の不一致によって喧嘩が耐えなく婚姻の継続が難しいなど、夫婦関係が破綻していることを証明する必要があることを知っておきましょう。
離婚原因ランキング:1位「価値観の違い」
恋人同士だった頃には感じにくかった価値観の違いですが、結婚をして家族となることで違いを感じていくものだといえるでしょう。
結婚は、お金の管理があったり子どもが産まれたりと生活を共にすること。あらゆる場面において、互いの価値観が影響してきます。
価値観とはその人自身を表し、軸となる部分でもあります。簡単には変えることができない点からも、違いを感じることで生活を共にすることが難しくなっていくのでしょう。
夫婦関係のあらゆる原因が、この「価値観の違い」から派生しているといってもいいくらい、価値観というものを私たちは大切にしているのだといえます。
離婚原因ランキング:2位「人生観の違い」
価値観と人生観は似て非なるものであり、自分がどんな風に生きていきたいか、自分自身の人生への考え方です。
結婚して夫婦となることは生活であることは述べてきましたが、生活とは人生そのものでもあるといっていいでしょう。
そのため、夫婦として共に過ごす時間は、人生に関わり影響してくるものです。人生の指針に違いを感じてしまうと、離婚を考えてしまうのも仕方がないのかもしれません。
離婚原因ランキング:3位「性格の不一致」
性格は、その人自身を表す特徴として認識される核となる部分です。生まれながらに持つ個人特有のものでもあることから変えにくく、一度「合わないな」と感じてしまうと修復が難しいことから、離婚に至る原因として挙げられます。
離婚原因ランキング:4位「金銭感覚の違い」
性格などと同様、ある事柄に対して持つ感情や感覚は一人ひとり違います。生活が伴う結婚においてお金は大変重要な基盤となるため、お金に対する考え方の違いが、夫婦関係にも影響してしまいます。
離婚原因ランキング:5位「夫婦の会話がない」
夫婦生活を続ける上で、言葉を交わさなくても通じ合う仲だと感じる場合と、会話もスキンシップもなくなり、夫婦でいる意味を感じなくなる場合と分かれると思います。後者の場合は、一緒にいることさえも苦痛となり、夫婦である必要性を失くすのかもしれません。
離婚原因ランキング:6位~11位「浮気やモラハラ」など
6位以降は、相手の浮気やモラハラ、借金、子育ての方向性の違い、DVの順番となりました。
- 6位:相手の浮気
- 7位:モラハラ
- 8位:相手の借金
- 9位:子育てに関する考え方の違い
- 10位:DV
- 11位~:家事や育児に協力的ではない
相手のした不貞行為は、感情的にも許しがたいものとなり、夫婦としての修復も信頼性の面で難しくなってくるようです。
モラハラやDVも日常的に行われることが多く、している方は自覚がないことも少なくありません。注意すればさらに激昂して手がつけられなくなるなど、離婚に至るまで悩まれる方が多いため、しかるべき機関に相談することも視野にいれてくださいね。
自分が知らないうちに相手が抱えた借金での離婚も8位と上位に挙がっています。子育てに関する考え方の違いも、夫婦仲にも影響する離婚の代表的な理由となっています。
また、「親族との折り合いが悪い」や「性的不満」「宗教上の理由」など、上記以外にも離婚に至る原因は夫婦の数だけあるといえるでしょう。
家族間と反りが合わず夫婦仲にも亀裂が入ってしまうことも理由の一つであり、性的な不一致も夫婦にとっては離婚を引き起こす原因となっているようです。
裁判で認められる5つの離婚の理由
離婚の9割が、双方の合意のうえで進められる協議離婚であることを上述しましたが、話し合いで離婚に至らない場合は、離婚調停または裁判離婚が必要となります。
ここまで、離婚の原因をランキングに沿ってご説明してきましたが、上記の理由では裁判で認めれない場合があります。離婚がうまく進まず裁判を起こす場合に必要となる、法廷離婚事由(※1)が5つありますのでご説明いたします。
- 配偶者の浮気・不倫(不貞行為)
- 配偶者から悪意の遺棄
- 配偶者の生死が3年以上不明
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
子どもがいるのに家に帰らない、生活費を渡さないなどは悪意の遺棄とされています。夫婦関係が破綻しており、信頼関係の維持が難しい等の判断がされた場合に、離婚が認められることとなっていることを頭に入れておきましょう。
※1.法定離婚事由とは、民法によって定められた5つの原因のこと。
離婚する理由を考える前にするべきこと
離婚に至るまで、悩まない方はいらっしゃらないでしょう。離婚を考えている間は悩ましく苦しい時間を過ごすこととなります。
ですが、離婚について考えるということは、自分たち夫婦をもう一度見つめ直すチャンスに立っていると考えてみて、以下のことに注目してみてはどうでしょうか。
- コミュニケーションは十分にとっていたか
- 親族との付き合いの密度
- 経済力に見合った生活であるか
- 双方を一人の人間として認めているか
離婚する理由として男女共に1位だった「価値観の違い」。元はこの思いから全ては始まっているといってもいいのかもしれません。
夫婦は時間を重ねるごとに、空気のような存在になるかもしれません。自然とコミュニケーションも減り、親族や近所との付き合いだけが浮彫になるような関係性が、繰り返されていくこともあるでしょう。
生活していく上で、経済面がずっと安定していく保証もないため、喧嘩になることもありますよね。お互いが当たり前になりすぎて、夫や妻である前に個の考えを持った一人の人間であることを、忘れてしまいがちなのも夫婦です。
違っても責めない、自分の考えが正解ではないことを知っておくことは、夫婦として少しでも長く続けていくコツではないでしょうか?必ずしも正しい答えが一つではないことを頭に入れておくことは、夫婦間だけではなく人間関係全体で活かすことができる秘訣だといえますよ。
離婚の原因を知ることで夫婦の在り方を見つけよう
離婚する理由はその夫婦によって、さまざまです。多くは、性格の不一致や人生観、金銭感覚など、個々の物事に対する捉え方の違いを感じることで生まれます。
あなたが離婚の原因を突き詰めることは、夫婦が本来どうあるべきなのかを振り返るキッカケであると捉えましょう。コミュニケーションを取ることを恐れず、もう一度二人で前向きに対話することを諦めずに進んでくださいね。