日本の結婚観とは違う?フランスを例に海外の事実婚事情を紹介!

パリのカップル© iStock.com/AleksandarNakic

日本でも新しい結婚の形として注目されている事実婚ですが、なかなか浸透していないのが現状です。一方、ヨーロッパでは結婚に対する考え方が日本とは大きく異なり、家族のあり方も多様化しています。

そこで、愛の国とも呼ばれるフランスの結婚観に注目し、日本とは違った事実婚の実態についてご紹介します。日本と海外の事実婚の違いを知り、結婚の知識と視野を広げましょう。

海外では事実婚がスタンダード!?

ドラマや有名人の影響もあり、日本でも認識されつつある事実婚。ですが、実際に事実婚を選ぶカップルはまだ少なく「結婚=入籍」という考え方が一般的です。

日本では女性が人生の中で大きな選択を迫られる機会はまだまだ多く、結婚しないまま子供を育てることは覚悟がいります。

しかし、海外に目を向けてみると様々な結婚のスタイルがあり、結婚しないままパートナーと過ごす事実婚はポピュラーな考え方なのです。

「カップルが家族になる方法は必ずしも結婚だけではない」と考えるフランスを例に挙げ、海外における事実婚の実態についてみていきましょう。

フランスにおける結婚の捉え方

愛の国フランス© iStock.com/fotostorm

フランスは愛の国と呼ばれるほどカップル文化が強く、パートナーを大事にしています。そのため、パートナーシップの選択肢の一つとして「事実婚」が当たり前に存在しているのです。

日本は「結婚=家族」という考えが主流ですが、フランスでは結婚と家族の関係はイコールではなく、一緒にいることで家族になり得るという考え方なのかもしれません。

もちろん、人によって考え方に違いはありますが、フランスでは結婚を次のように捉えているようです。

  • 「結婚しなければならない」という概念がない
  • パートナーを愛し続けていたいから結婚しない
  • 個人の考えや自由を大切にし他人に強要しない

自分と他人は違うことをしっかりと認識しているため、自分の幸せのためにやりたいことをして、自分らしく自由に生きられる環境を求めます。

パートナーに対してもその考えがあるので、結婚の形式にこだわらず、事実婚を選択する人が多いのでしょう。

日本とフランスの結婚感で大きく異なるのは、夫婦関係と家族は違うと考えることなのかもしれませんね。

日本とフランスの事実婚事情

フランスの子育て© iStock.com/Lorado

現代の日本は、結婚相談所を訪れたり婚活が行われたりと、結婚が目的化しているところがあります。

一方フランスは婚外子も半数以上といわれ、事実婚状態でも法的な結婚に近い権利を認めてもらえる制度が整っているのです。

日本とフランス、それぞれの結婚の制度についてみていきましょう。

日本における事実婚

日本で結婚といえば、法律婚が一般的ですが、事実婚も結婚の種類の一つとして認められています。日本におけるパートナーシップの種類は以下の通りです。

結婚(法律婚)

婚姻届を提出し法的に家族として籍を入れることで、伴侶や子供の扶養の義務が伴います。

事実婚

入籍の届け出はせず、双方が結婚の意思を持ちながら共同生活を営んでいる状態です。内縁関係といわれることもあります。

法律婚が一般的な日本で事実婚を選択すると、

  • 事実婚の証明がないとできないことがある
  • 子供ができた場合、親権の共有ができない
  • 事情があるのでは?と深読みされてしまう

などが心配され、社会全体としてはまだまだ事実婚に対する認識は薄く、制度が整っていないことがわかります。

フランスにおける事実婚

フランスでは1999年の民法改正により、結婚の他に「PACS(パックス:民事連帯契約)」という婚姻より規則が緩く、同棲よりも法的な権利を受けれる新しい家族のあり方が認められました。

そのため、現在は3つのパートナーシップの種類があります。

結婚

日本と同じように法的に籍を入れ、子供や伴侶に対して扶養の義務が発生します。姓を変えるどうかを選択することができますが、日本同様夫の姓に合わせることが多いようです。現在は同性婚も認められています。

PACS(パックス:民事連帯契約)

Pacte civil de solidaritéの略称。

フランスで事実婚というと、このPACSという制度が一般的のようです。

もともとこの制度は、性的マイノリティの人々から要望を受け、異性または同性のカップルが安定した共同生活を送れるようにと制定されました。

当初はその半数近くが同性のカップルでしたが、結婚よりも手続きが簡単で自由なことから、現在では異性のカップルが利用する割合が増加しているようです。

財産を共有するかどうかを自分たちで決めることができ、所得税に関してもは二人で申請できるなどのメリットがあります。

また、この制度を利用したカップルの間に子供ができた場合、共同親権を持つことができるのも日本の事実婚との大きな違いです。

ユニオンリーブル(同棲)

特別な手続きを行わずに一緒に暮らしているカップルのことで、法律上の義務や優遇等はありません。日本の事実婚に最も近い形でしょう。

<日本の結婚形態>

 

日本

結婚(法律婚)

事実婚

同居義務

義務あり

義務あり

貞操義務

義務あり

義務あり

子  供

母親の夫が法律上の父親

父親になるためには認知が必要

税  金

個別に申告、配偶者控除可

個別に申告、配偶者控除不可

財  産

共同で築いた財産は共有財産

共同で築いた財産は共有財産

相  続

相続権利発生

遺言が必要

遺族年金

受給可

証明があれば可

 

<フランスの結婚形態>

 

フランス

結婚

PACS

ユニオンリーブル(同棲)

同居義務

義務あり

義務あり

義務なし

貞操義務

義務あり

義務なし

義務なし

子  供

母親の夫が法律上の父親

父親になるためには認知が必要

父親になるためには認知が必要

税  金

共同課税

分離課税・共同課税の選択が可能

個別に申告

財  産

特別な取り決めがない限り共有財産

特別な取り決めがない限り個別財産

法律上の規制なし

相  続

相続権利発生

遺言が必要

遺言が必要

遺族年金

受給可

不可

不可

 

このように、フランスでは法的な結婚をしないカップルに対する制度が整っているため、社会全体として事実婚への認識が高く、周囲の評価を気にする必要がありません。

そのため、結婚することだけが幸せな生き方ではないと考え、形にこだわらない結婚のスタイルを選択するのかもしれませんね。

日本と海外では「結婚」の考え方が違う!

フランスの家族© iStock.com/encrier

結婚の形にこだわる日本と形式にとらわれず自由に家族のあり方を選ぶフランス。日本とフランスの事実婚の考え方が大きく違うことがわかりました。

一見、幸せを追及するためだけの選択にも感じられますが、決して自我を押し通しているわけではなく、個人の考え方を大事にし、それぞれの価値観で生きることを選んでいるのです。

日本とフランスの「結婚」の決定的な違いは、フランスではどんな夫婦関係であっても世間の偏見がなく、夫婦はパートナーであるということ。

今後様々な国の文化や制度を受け、日本でも事実婚の位置づけが明確になれば、自分に合った働き方を探すように、自分に合ったパートナーシップのあり方として当たり前に事実婚を考える社会になっていくのかもしれませんね。

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