結納で用意する品物は?結納品・結納金・結婚記念品の準備

結納で用意する品物©violet-blue – iStock.com

結納を用意する場合、新郎側と新婦側で用意するものは違いますが、両家の格式としきたりを合わせるために話し合いをして、同じ格式のものをそろえる必要かせあります。男性側が用意する「結納品」と結納品の品目の1つ「結納金」準備の考え方、女性側が用意する「結納返し」の準備の考え方についてまとめました。

現在の結納で新郎側・新婦側の両家で準備する品物とは

結納とは婚約の儀式です。そこで取り交わす「結納品」とは、両家の末永い繁栄を意味する願いを、それぞれの一つ一つに込めた品物のことです。それぞれの品物で込められた願いの意味が違います。結納品の目録は、関東・関西・各地域によってしきたりが違いますので、どちらの家のしきたりに合わせるのか、両家で話し合う必要があります。
結納では新郎側の家が結納品(結納金含む)・結婚記念品を準備して新婦側の家に納めます。一方、新婦側の家はお返しとして結納返しと結婚記念品を用意し、こちらを双方で送りあうことで、両家の結びつきをより一層深めることになります。

新郎側が用意する「結納品」の品物と品数

結納で用意する品物©aduchinootonosama – iStock.com

結納品の内容や名称は地域や形式によって品目・内容が異なりますが、大きく分けて2つ「関東式」と「関西式」に分けられます。結納品は9品目が正式とされていますが、現在は結納品の品数も簡略化されつつあり、3・5・7品目が主流になりつつあるようです。地域によっては11品目、13品目など、いずれも割り切れない奇数の縁起のいい品目数が目安です。

関東式結納品9品目の内容

目録(もくろく)
結納品の品名と数量を箇条書きにしたもの。結納品の納品書です。

長熨斗(ながのし)、熨斗(のし)
のしあわび、あわびのしとも。もともとはアワビを叩いて熨して(伸ばして)乾燥させた保存食のです。アワビは昔から「不老長寿の食べ物」として贈られる最高級のお祝いの品です。

金宝包(きんぽうづつみ)
結納金を指し、結納金を入れた包みの意味。昔は、輿入れのために帯地や着物を贈っていたのですが、時代とともに支度金としてお金を送るようになりました。「御帯料」とも呼ばれています。また、女性側から送る際は「御袴料(おんはかまりょう)」として贈られます。

末広(すえひろ)
白無地の扇子。白無地であることは、純真無垢の心を表します。扇子の末広がりの形は、幸せが末永く続くようにという繁栄を願います。

友白髪(ともしらが)
白い麻糸の束を白髪に見立てたもの。共に白髪になるまでの長寿や健康を願い、麻のように強い絆で結ばれるという意味で夫婦円満の願いが込められています。

子生婦(こんぶ)
昆布のこと。昆布の旺盛な繁殖力にあやかり子宝に恵まれるよう、子孫繁栄を祈願したものです。「よろこぶ」という意味も込められた縁起物です。

寿留女(するめ)
スルメのこと。長期保存できる不時の備えの食料とされます。噛めば噛むほど味がでるため、味のある仲のいい夫婦になってほしいと末永い幸せを願うものです。

勝男武士(かつおぶし)
鰹節のこと。武家の保存食や非常食として常備されており、武運長久の縁起物として男性の力強さの象徴です。

家内喜多留(やなぎだる)
酒料のこと。柳の酒樽の意味で、関西式では、「柳樽料(やなぎたるりょう)」と呼ばれます。酒桝に清酒を入れて用いますが、酒肴料として現在では一定の現金を包むのが一般的です。お酒を酌み交わし、『これから親戚付き合いをよろしく』という意味があります。

関西式結納品9品目の内容

熨斗(のし)
関東の長熨斗と同じ意味です。

寿恵廣(すえひろ)
関東と末広と同じ意味です。

小袖料(こそでりょう)
結納金のこと。「帯地料」「帯料」とも称されます。

柳樽(料)(やなぎだるりょう)
関東の家内喜多留と同じ意味です。

松魚(料)(まつうおりょう)
肴料(食事代)のこと。本来は実際に雄と雌の真鯛を贈っていましたが、現在では肴料として一定の金額を包む場合が多いようです。関東式では「松魚料」の代わりに「勝男武士」を贈ります。

高砂(たかさご)
尉(老翁)と姥(老婆)の人形です。白髪になるまで夫婦円満に、長寿や健康を願うものです。関西式でのみ用いられます。

結美和(ゆびわ)
婚約指輪のことで、結納目録に書く際に、縁起の良いおめでたい字を当てています。結納品(目録)に含める場合と、結婚記念品として結納品(目録)には含めない場合があります。

子生婦(こんぶ)
関東と同じ意味です。

寿留女(するめ)
関東と同じ意味です。

現在の結納品数

結納のスタイルが、現在選ばれているのが正式結納から略式結納へと簡略化されているように、現在では結納品の数も少ないセット品目を選ぶ家庭も増えています。

関東スタイルで多い品目数・・・関東(静岡含む)・甲信越・東北・北海道・沖縄など
7品目・5品目・9品目

関西スタイルで多い品目数・・・関西地方全般
7品目・3品目・5品目

3品目 
熨斗、末広、御帯料

5品目~7品目
熨斗、末広、御帯料に家内喜多留(やなぎだる)、友白髪(ともしらが)、高砂(たかさご)、目録(もくろく)

結納品の買い方

結納品は百貨店・結婚式場・ホテル、ブライダルサロン、WEBの結納品専門店などで購入できます。
百貨店などの実店舗で購入すると、品目1つ1つの意味をスタッフから説明を受けたり、両家のしきたりや格式合わせの相談をしながら買えるというメリットが。
インターネット通販を利用する場合の結納セットでは1~10万円以上まで、地域別と格式別にさまざまな値段と種類があり、各ショップを在宅のまま比較することが可能です。
また、ホテル・式場・料亭などで取り扱っている「結納パック」では、結納品や必要な書類、飾り付けなど、両家の格式と要望を担当者が取りまとめて用意してくれる便利なサービスもあるので、それぞれの利点を検討してください。

結納品として包む結納金の金額相場

結納品の品目で結納金を意味するのは、次の名称の品目です。
 
関東・・・金宝包(きんぽうづつみ)
関西・・・小袖料(こそでりょう)
 
結納金とは、名字を名乗る側が支度金として用意します。男性サイドの姓を名乗るのであれば新郎側が、女性サイドの姓を名乗るのなら新婦側の家が用意します。
金額の平均相場は全国平均で約91万ですが、50万・100万・200万円ときりのいい金額で揃えることが多いようです。男性側が女性側の姓を名乗る場合は、女性側が用意する結納金は相場の倍と言われていましたが、現在ではそういったケースは少なくなりつつあるようです。
結納金の金額を決める際のマナーでは、男性側から「いくら用意したらいいですか?」と女性側に尋ねるのはNGで失礼にあたります。結納金の額は男性側で、家として贈るか、新郎自身が贈るかで金額の相場を決定します。
一般的な相場から外れた金額(多すぎる・少なすぎる)になるようであれば、女性側にさりげなく伝えた上で持参するほうがスムーズです。

その他結納品に含まれる現金の結納品

結納品の中には、結納金のほかにも現金を包む結納品があります。
結納9品目に含まれる関東式の「家内喜多留(酒料)」関西式の「松魚料(肴料)」では、現在ではものではなく、現金を包みます。昔は結納式後の祝宴用に男性側が本物の酒肴を持参して納めたのてすが、現在は現金での「酒肴料」として納めるようになりました。九州地方など一部の地域では、今でも酒・肴(鯛など)の現物を持参する風習があります。
この酒肴料は結納金の10%程度を包むとされていますが、現在では酒肴料あわせて5万円程度とすることが多いようです。
どちらも同じ現金ですが、結納品と酒肴料をいっしょに包むのはNGです。それぞれの意味と願いが異なる結納品なので、必ず別々に包む必要があります。

新婦側が用意する「結納返し」とは

結納返しとは、男性側からいただいた結納の御礼と両家のつながりを深める意味を込めて、現金または品物をお返しします。現金で返すか、品物で返すかの明確なきまりはないのですが、地域によってはしきたりがある場合もあります。品物の場合は格式をそろえる必要がありますので、結納品を購入した場所と同じ場所で購入するようにしましょう。
このときのマナーとして、女性側の家は「相手の結納品よりも豪華にならないように」お返しすること。一般的に、結納品と同額、それよりも控えめな品・金額でなくてはいけない、とされています。
相場は関東が『半返し』でいただいた金額の半分程度をお返しに使い、関西では1割程度を返す、とされています。地域によっては結納返しの形式が決まっていたり、愛知の一部では2~3倍の金額でお返しするしきたりがあったり、結納返しの風習自体が全くないところもあります。
結納返しは、その時期についても地域によっても異なります。現在では当日中に結納返しを行うことが多くなってきましたが、日を改めて女性側が男性側宅に伺って結納返しを行うしきたりをいまだ守っている地域もあります。

結婚記念品

結納品とは別に、婚約の証しとして送りあう品物のことを言います。新婦側は結納返しの品物として結婚記念品を送るケースがあります。

新郎側

婚約指輪を結納品の1品目として選ぶ人がほとんどです。また、女性がいつも身に着けていられる時計やネックレスなどのアクセサリーか、バッグなどを贈る場合も。

新婦側

腕時計が最も多く、その他にスーツ・靴・電化製品・カバンなど、男性にとって実用的である贈り物が選ばれています。

結納で準備する品物「結納品」と結納金・結婚記念品の内容まとめ

結納で準備するものは、新郎側の家と新婦側の家では異なり、新郎側は「結納品」を、新婦側は「結納返し」を用意します。結納品には品目があり、地域によってしきたりや呼び名が異なりますが、長い歴史の中でそれぞれに繁栄の願いが込められています。品目1つ1つの意味を知って、お互いの家の関係がより一層深まるよう、結納の準備を丁寧に進めましょう。

関連するキーワード