見合い扇子ってなに?京都に伝わる婚礼の儀礼を紹介!

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京都に伝わる伝統的な結婚の儀式「見合い扇子」という文化をご存じですか?

結婚を誓った男女が、お互いの気持ちを確かめるための儀式として、古くから伝わっている風習なのだとか。

京都の独自文化である見合い扇子にまつわる情報を、詳しくご紹介していきます。

見合い扇子とは

京都では結納の儀礼をする前に、結婚の意思表示をする儀式「見合い扇子」を執り行うという文化があります。

見合い扇子は、男性側が女性用の、女性側が男性用の扇子を用意し、「あなたと結ばれたい」という願いを込めて取り交わす、という流れで行われるようです。

他にも「おさえ末広」「扇子の交換」「扇子納め」という呼び方もされており、代々伝わってきたのだとか。

なお、大阪地方では男性側が男性用の、女性側が女性用の扇子を納めるそうですよ。

現代でも続いている風習なの?

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古来より伝わる見合い扇子の文化は、現代に至っても続いているようです。ですが、今は扇子に関わらず、本人同士が選んだ好きな品物を贈り合っているそう。

取り交わす品物は変わっても、「言葉ではなく行動で気持ちを確かめ合う」という京都の奥ゆかしさはいつまでも変わらないものなのですね。

扇子は縁起の良いアイテムの一つ

京都の婚礼儀式で取り交わされる扇子ですが、これは縁起のいいアイテムの一つとして知られています。

扇子は「末広」とも呼ばれており、幸福が末広がりに広まっていきますように、という縁起の良い意味を持っているんですよ。中には、引き出物に扇子を入れることもあるそうです。

なお、扇子が日本で発明されたのは八世紀ごろとされています。当初は字を書くための細い木を束ねた「木簡(もっかん)」と呼ばれる物で、平安時代には貴族の間で和歌などを書き入れるために使われていたようですよ。

扇子は、大変長い歴史を持つ文化財なのですね。

見合い扇子に当たる儀式は他の地域にも

京都の見合い扇子に当たる儀式は、他の地域にも見られることがあります。見合い扇子とはどのような点が異なっているのか、詳しく見ていきましょう。

こぶし固め

こぶし固めとは、兵庫県の豊岡地方で行われている風習で、見合い扇子と同様に結納に先立って行われる儀礼を指します。

男性側から女性側へお酒と魚を納めることで、儀式が成立するようですよ。

  • 婿方が持参した魚を嫁方が料理する
  • 持参したお酒を飲む

という過程を踏むことで、男性側の結婚申し込みを女性側が承諾したことになる、という風習なのだそうです。

きめ酒

きめ酒とは北陸地方に伝わる文化で、結納より先にお酒を贈る風習のこと。見合い扇子やこぶし固めとは異なり、お酒を準備するのは男性側のみなのだそう。

「結婚の仮契約」という意味合いを持つ儀礼なので、気持ちを確かめ合うための見合い扇子とは少し趣が相違するのではないでしょうか。

見合い扇子は京都の奥ゆかしい文化

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言葉ではなく行動で思いを確かめ合う見合い扇子は、奥ゆかしい表現を好む京都の文化だと考えると、実に理にかなっているように思えます。

現代でもその文化が絶えていないことから、京都の方々の心に深く刻み込まれている根強い風習だということが推し量れますね。

もし京都での結婚式をお考えなら、見合い扇子を実施してみるのもいいかもしれません。

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