結婚を機に会社を辞める「寿退社」、共働きの時代に合わないのでは?という考えもありますが、今でも一定数の方が寿退社をしているようですよ。
仕事が辛いという方は特に、寿退社をしたいと思うかもしれません。ですが、きちんとリスクを知ってからでないと、結果的に自分の首を絞めてしまうことに繋がってしまいますよ。
寿退社をする際のマナーやメリット・デメリットを知り、今一度真剣に検討しましょう。
目次
寿退社をする人はどれくらいいるの?
結婚しても仕事を続けることが主流になっている現代ですが、中には「寿退社をしたい!」と考える方もいらっしゃいます。
ブライダル総研の調査によると、2016年時点で「結婚後は専業主婦を選ぶ」という方の割合は7.3%でした。決して多いとは言えませんが、それでも1割弱の方が寿退社をしたいと考えているようですね。
では、いざ寿退社をすることになった時、どのような手順を踏む必要があるのでしょうか。
データ参照:新婚女性が考える結婚後の理想の働き方とは?「子どもができてもずっと仕事を続ける」ことを理想とする女性が増加中|マーケットを読む・調査データ|リクルート ブライダル総研
寿退社をしたいと思ったら
寿退社が決まったら、「上司に報告」「職場への挨拶」「入念な引継ぎ」の三点が必要になります。詳しく見ていきましょう。
①上司に報告
寿退社をすることになったら、まず真っ先に上司へ報告しましょう。あまりギリギリになってしまっては職場も混乱してしまいますので、大体3カ月前までには報告するのが理想的です。
ここで注意しなければならないのが、繁忙期の退職は極力避けるということ。いくらおめでたい事だとはいえ、「なにもこんな時期に辞めなくても……」と、職場の方を困らせることになってしまいます。
できるだけ気持ちよく送り出してもらうためには、適切な退職時期を定めることがポイントですよ。
②職場への挨拶
上司への報告が終わったら、職場の方々にも報告をします。自分の部署はもちろん、近しい部署にも報告をし、いつ頃辞めることになるのかも伝えておきましょう。
③入念な引継ぎ
立つ鳥跡を濁さずです。後任の方には入念に引継ぎをし、余力があればマニュアルなども作っておきましょう。
自分が何を担当していたか、その仕事はどのような手順でこなすのかなど、退職後に混乱を呼び起こさないための徹底的な引継ぎが必要ですよ。
寿退社したいと思う理由
昔に比べてあまり主流ではなくなってきている寿退社ですが、そうしたいと考える理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
仕事が辛い
長い労働時間や業務中のストレス、上司からのパワハラなどで仕事を辛いと思っている時、結婚が決まると「寿退社したい」という気持ちが湧く人は多いのでは?
だったらそれに乗じてしまおう!という事で、寿退社に踏み切るようです。
相手に経済的余裕がある
結婚後、自分が働かなくてもいい経済状況が確定している場合も、寿退社という発想に至るようです。相手に十分な稼ぎがあるのなら、むしろ自分は家庭のことに専念したほうが、なんだか合理的に思えますよね。
新居への引っ越しや転勤で物理的に通えない
現在住んでいる場所と新居があまりにも離れていたり、相手の転勤についていくとなった時、今勤めている職場に通えなくなってしまう……という状況になってしまうこともあります。
無理して通うのだったら、いっそ転居先で仕事を探した方が良いと判断し、寿退社をすることになるようですよ。
寿退社のメリット
では、寿退社にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。まずはメリットからご紹介していきます。
生活リズムを作りやすい
違う家庭で育った二人が一緒に住むようになるのですから、リズムを整えていくのにはそれなりに時間がかかります。その上で仕事も……となると、新婚の身には少し荷が重いと感じてしまうカップルも。
ですが、どちらか一方が家庭のことを担当する事で、生活リズムを比較的早く作ることもできるようですよ。
辞める口実ができる
仕事を辞めたいとは思うものの、これと言って特に理由もなく、辞めたい理由も説明し辛い……という状況で、寿退社は最適な口実ではないでしょうか。
周囲から悪い印象を持たれることもなく、誰かに退職の理由を聞かれても「結婚したから」というシンプルな説明で済みます。
家事に専念できる
仕事と家事、両方を成立させるのはなかなか大変ですよね。独身時代は適当にしていた家事も、一緒に住む人ができたらある程度きちんとこなさなければいけません。
ですが、片方がその役割を担うことができれば、両立に苦労をする必要がなくなります。もちろん、経済的に余裕があるカップルでないとできないことではありますが……。
寿退社のデメリット
それでは、寿退社のデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
経済的自立ができない
寿退社するということは、専業主婦になることと繋がります。すぐ次の仕事が見つかれば問題ありませんが、そのまましばらく主婦業を続けた場合、経済的自立が困難になるという欠点があると考えられるでしょう。
「養ってもらっている」という状況に特に引け目を感じてしまう、という可能性がある人は注意しなければなりません。
再就職が難しい場合も
結婚している女性を社員として迎え入れることを考えた際、思い浮かぶリスクとして、「入社から時間が経たないうちに妊娠や出産ですぐ辞めてしまうのではないか」という点が挙げられます。
そのため、再就職が難しくなってしまう危険性も十分に考えられます。今後も働きたいという意思があるなら、寿退社にはそういったリスクも伴うことを頭の片隅に入れておきましょう。
社会との関わりが減る
自ら外に出向く積極性がある方や、人と関わることをあまり好まないという方ならあまり心配ありませんが、特に「人とかかわる積極性は無いけど誰かと話さないと気が滅入ってしまう」というタイプの方は注意が必要です。
寿退社に向かない人
寿退社をしたいと思う人が、必ずしもその選択肢に向いているとは限りません。では、一体どのような人が寿退社に向かないのでしょうか。
仕事で自己実現したい
こう考える方はそもそも寿退社を考えないでしょうが、気をつけなければならないのは、「本当は仕事で自己実現したいと思っているのに、現在の仕事が辛すぎてその気持ちを忘れてしまっている」というタイプの人です。
とにかく今の職場を離れたい!という一心で寿退社をしたものの、いつの間にか「こんな毎日を送るはずでは……」という後悔に襲われてしまうかもしれません。
俗語ではありますが、最近は「寿転職」という言葉もあるようです。しばらく休み、疲れを癒したら、あまり期間が空きすぎないうちに次の就職先を探してみるのがいいかもしれませんね。
相手に極力依存したくない
主に経済的な依存を指します。いくら家事を担当していても、養ってもらっているという状況に対等さを感じられないという方は特に、寿退社が向いていないと考えられます。
社交的で人と関わることが好き
誰かと関わっていないと調子が出ない、会話する相手がほとんど結婚相手だけで気が狂いそう!となりそうな方は、寿退社に向いていないと言えるでしょう。
個人で人脈を作れるという方はさほど心配しなくても大丈夫ですが、そうでなければ寿退社はあまりおすすめできないと考えられます。
寿退社をしたいと思ったら、まずは夫婦で意見のすり合わせを
寿退社はどちらか一方の都合ではなく、しっかりとライフプランを見つめて話し合うことが大事です。これから先どう生きていくか、どうして行きたいかを夫婦できちんと話し合い、意見のすり合わせを十分にしたうえで結論を出しましょう。