事実婚でも適用される?事実婚で社会保険の扶養に入るための条件と注意点を解説!

事実婚の夫婦© iStock.com/fizkes

法的な婚姻の形をとらない事実婚は、その自由さから「扶養には入れない」と思われることが多いよう。

しかし、事実婚の場合でも一定の条件を満たせば、社会保険に関する保障が受けられるのです。

事実婚で社会保険の扶養に入るための要件と注意点をご紹介しますので、事実婚における扶養の扱いに不安がある方は、ぜひ参考にしてください。

事実婚でも扶養に入ることはできる?

「扶養」といっても、社会保険制度上の扶養と税法上の扶養があり、それぞれに扱いが異なります。

事実婚の場合、社会保険制度上の扶養を受けることはできますが、税法上の配偶者控除・配偶者特別控除については扶養を受けることができません。

ただし、事実婚で社会保険の保障を受けるためには、いくつか条件を満たす必要があります。

では、その条件についてみていきましょう。

事実婚で社会保険の扶養となる条件

事実婚の扶養© iStock.com/fizkes

事実婚の場合も、条件を満たせば社会保険に加入する者の配偶者として被保険者となることは可能です。一つずつ確認していきましょう。

被扶養者の範囲

社会保険の被扶養者制度では、被保険者に扶養されている家族に対しても保険給付が行われます。被扶養者の範囲は、次のとおりです。

1.被保険者と同居している必要がない人

  • 配偶者
  • 子、孫および兄弟姉妹
  • 父母、祖父母などの直系尊属

これらの方は、被保険者と必ずしも同居している必要はありません。

2.被保険者と同一世帯であることが条件になる人

  • 上記1以外の3親等内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者など)
  • 内縁関係の配偶者の父母および子(当該配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)

これらの方は、被保険者と同居し家計を共にしている状態でなければなりません。

この範囲で注目していただきたいのは、配偶者についての記載です。法律上の婚姻関係にある者だけでなく、内縁関係の配偶者に対しても認めています。

収入の基準

被扶養者として認定されるためには、主として被保険者の収入によって生活が成り立っていることが必要です。被扶養者となる家族に収入がある場合、認定の基準は次のとおりです。

1.被保険者と同一世帯の場合

年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上又は障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であり、被保険者の年収の2分の1未満である場合。

または、認定対象者の年間年収が130万円未満であり被保険者の年間収入を上回らず、被保険者が世帯の生計維持の中心的な役割を果たしていると認められた場合。

2.被保険者と同一世帯でない場合

年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上又は障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であり、被保険者からの援助による収入額よりも少ない場合。

事実婚の証明

社会保険では事実婚の関係性を重視し、法的な婚姻関係がない事実婚の相手でも配偶者として認めています。ただし、事実婚の場合、その実態を証明しなければなりません。

通常は戸籍上で配偶者の確認ができますが、事実婚の場合は戸籍上の記載がありませんので、以下の書類が必要になります。

  • 世帯全員が記載の住民票
  • 両人の戸籍謄本(抄本)

住民票は世帯主とその家族で構成されています。例えば、夫が世帯主の場合、妻の続柄を「妻(未届)」とすることで事実婚状態の夫婦であるという証明になります。

また、戸籍謄本(抄本)の提出は、事実婚である夫婦のそれぞれに法律上の配偶者がいないことを確認するために必要です。

※お住まいの地域によって手続きや取り扱いが異なる場合もありますので、詳しくは関係機関にお問い合わせください。

参照:日本年金機構保険組合

事実婚であることのデメリット

事実婚の実態© iStock.com/littlehenrabi

事実婚は、結婚の意思を持ちつつも婚姻届を出さずに共同生活を営んでいる状態です。入籍をしていないだけで、二人の関係性や生活スタイルは法律上の夫婦と変わらないでしょう。

ただ、法律上の夫婦ではないからこそ避けられないデメリットもあります。配偶者として法的に認められないために、税金の控除が受けられず、法定相続人になることもできません。

税法上の配偶者とは、法律が定める婚姻に基づく配偶者を指します。事実婚のパートナーはその配偶者に該当しないため、配偶者控除を受けることができないのです。

事実婚であるがゆえにリスクが生じることも認識しておきましょう。

事実婚でも社会保険の扶養に入ることは可能!

事実婚は、共働きの増加や形式にとらわれない結婚への意識を背景に、今後増えていく可能性のあると考えられます。

税金や相続の面では婚姻関係の夫婦よりも不利な現状ではありますが、社会保険制度に関しては事実婚の場合も法的な夫婦と同様の保障を受けることが可能です。

事実婚ならではのデメリットがあることも理解しつつ、事実婚でも社会保険の扶養に入れる条件を確認しておくと良いですね。

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